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大石明弘さんら3人がたどったパンドラ北東壁のルート=大石さん提供
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 世界第2位の高峰K2(標高8611メートル)で遭難死した「世界最強」アルパインクライマーのペア、平出和也さん(当時45)と中島健郎さん(同39)の挑戦を引き継ぎ、次の一歩を踏み出したい。そんな決意を胸に、静岡市在住の山岳ライター大石明弘さん(45)が10月末、ヒマラヤ山脈の絶壁に挑み、死力を尽くして頂に立った。

 大石さんは平出さん、中島さんと深い親交を結んできた。

 平出さんとは同い年。別々の大学の山岳部に所属していた2001年、ヒマラヤ山脈の8千メートル峰チョー・オユーに2人で登頂した。「学生だけで8千メートル峰に登ろう」と大石さんが呼びかけ、大学の枠を超えてただひとり呼応したのが平出さんだった。

 年下の中島さんとも15年来の親交があった。クライマーの合宿に一緒に参加し、目指す山々について情報交換した。大石さんがライター、中島さんが撮影担当として、2人で登山の取材をしたこともあった。

 大石さんは親しみを込めて、平出さんを「平出」と呼び捨てで、中島さんを「健郎くん」と呼んできた。

開けてしまったパンドラの箱

 今回の遠征はこの2人を含め、山で亡くなった仲間たちの死を乗り越えるという意味を帯びていた。

 挑戦の舞台は、ネパール東部…

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